2013年診療 所火災事故の発生により改めて防火設備の維持管理の重要性が浮上しました。
平成25年3月福岡県の診療所火災事故は、鉄筋コンクリート地上4階、地下1階建てを全焼し、死者10人、負傷者5人の犠牲者を出す惨事となったことはまだ記憶に新しいものです。被害拡大の要因は、温度ヒューズ又は熱感知器、煙感知器と連動する防火設備(防火ドア)が建物の7ヵ所に設置されていたが、いずれも作動しなかったという問題が明らかになりました。
なぜ火災事故は拡大したのでしょう?
- 発生後の検証による法令違反と原因(※防火設備に関する内容のみ抜粋)
- 防火設備:煙感知式にすべきものが旧式の温度ヒューズ式等のままであった
- 防火区画:増築された吹き抜け部分に設置すべき防火設備が設置されていない
- 消防法による消防設備点検は行われていたが、防火設備そのものの点検は未実施であった
そこで、
緊急点検で防火設備に建築基準法違反を指摘された施設のうち、6割近くが
手つかずのまま是正が進んでいないことが、同省の調査などで分かりました。
- @防火設備の状況
- 緊急点検対象16,087件
- 建築基準法令へ の不適合1,724件
- A無届による増改築等の有無及び無届による増改築等
があった場合の当該部分の建築基準法への適合状況 - 緊急点検対象16,087件
- 無届による増改築541件
- 建築基準法令への不適合389件
このような防火設備の不備による事故の再発防止の検討がなされ、防火設備の維持管理に対する強化が必要となり、今回の建築基準法改正に至っています。
- 緊急点検の結果を受けて打ち出された対策
-
- ・防火設備の検査基準設定
- ・検査員の資格制度
- ・検査、報告対象を国が定め、その他を地方自治体(特定行政庁)が定める
建築基準法の一部改正法律案(平成26年3月 国土交通省 プレスリリースより抜粋)
-
- 1.背景
- より合理的かつ実効性の高い建築基準制度を構築するため、木造建築関連基準の見直し、構造計算適合性判定制度の見直し、容積率制限の合理化、建築物の事故等に対する調査体制の強化等の所要の措置を講ずる。
-
- 2.概要
- (6)定期調査・検査報告制度の強化
建築物や建築設備等についての定期調査・検査制度を強化し、防火設備についての検査の徹底などを講じることとする。
建築基準法の定める定期調査/検査の改定ポイント
- 現行
- 特殊建築物等 定期調査 ●劇場、病院、百貨店などの外壁の損傷、天井の耐震 対策の状況の確認 ●防火設備の設置状況の確認など
- 昇降機 定期検査 ●エレベーター、エスカレーターなどの安全装置の点検、動作確認など
- 建築設備 定期検査 ●配管設備の腐食状況の点検、換気設備の換気量の確認など
- 改正後
- 建築物等 定期調査 ●劇場、病院、百貨店などの外壁の損傷、天井の耐震対策の状況の確認など
- 防火設備 定期検査 ●防火ドア、防火シャッターなどの駆動装置の検査など
- 昇降機 定期検査 ●同上
- 建築設備 定期検査 ●同上